なお、来年度予算の5億9,200万円のうち、名古屋市への委託が4億2,500万円であり、資格取得と操縦士等の養成に係るものなど、一時的に増加する経費である2億6,400万円を除くと1億6,100万円である。
この1億6,100万円の内容は、操縦士等の人件費や燃料代、機体装備品、消耗品に係るものであり、年度によって増減はするが、現時点では同程度で推移すると見込んでいる。
9: 【
長江正成委員】
操縦士は防災ヘリコプターの機種ごとに資格が必要だが、将来、名古屋市の消防ヘリコプターが更新された際に、現在の名古屋市の型式と異なるケースも予想されるが、その際には、本県も新たな資格を取得するための費用が必要になるのか。
10: 【
消防保安課担当課長(
予防・
防災航空)】
全国の消防防災ヘリコプターは、本県のベル412や名古屋市のAS365などの機体のほか、川崎BKやAW139などの4種類が主流となっている。
名古屋市が機体を更新した際、仮に本県や名古屋市のヘリコプターと異なる機体となった場合、型式に合う新たな操縦士や整備士の資格が必要となり、そのための予算が必要になる。
機体更新時の機種の選定については、活動内容に適した機体性能やコストの面など、総合的に検討していく必要があるため、今後、名古屋市と研究していきたい。
11: 【
長江正成委員】
本県では、県営名古屋空港に隣接する場所に基幹的広域防災拠点を整備する計画を進めているが、熊本県にあるような防災ヘリコプターに関する活動拠点を、今後、県が構想することはあるか。
12: 【
消防保安課担当課長(
予防・
防災航空)】
大規模災害時には、他県や政令市から多くの防災ヘリコプターの応援を受けることになる。その際には、空港内に防災ヘリコプターを駐機、給油、整備する場所を確保するほか、防災ヘリコプターの運用を調整する場所も必要になる。
具体的には、防災ヘリコプターの運用調整をはじめ、各救出救助機関の連携調整、あるいは広域医療搬送の調整など、迅速、円滑な受援体制の確立を図るため、拠点内に各部隊等と調整する場所を設けることも検討している。空港と拠点がそれぞれ機能を最大限発揮できるよう、一体的に活用していきたい。
13: 【
長江正成委員】
防災ヘリコプターの操縦士等の退職年齢について、名古屋市は65歳であり、本県の防災ヘリコプターの操縦士等の退職年齢と2年間の差がある。今回、操縦士の養成に多額な費用がかかることから、今後、名古屋市も退職が67歳となれば、新たなパイロットを養成する費用が減ると思うため、名古屋市と調整してほしい。
また、今後、基幹的広域防災拠点として県が整備する場所に、南海トラフ地震などの巨大な災害に対応できるよう、様々な関連機関と連携が密に取れる指令所の設置を検討してほしい。
14: 【
野中泰志委員】
愛知県基幹的広域防災拠点整備事業費の中のPFI事業について、この拠点整備にPFIを活用する理由は何か。
15: 【
防災拠点推進室担当課長(
防災拠点推進)】
PFI事業については、民間事業の持つ資金調達力や経営能力、技術的能力を活用し、効率的かつ効果的な公共施設の整備や、より質の高い公共サービスの提供が期待できることから、この防災拠点整備に活用したいと考えている。
16: 【
野中泰志委員】
PFI事業の中にアドバイザリー業務が入っているが、アドバイザリー業務の具体的な内容は何か。
17: 【
防災拠点推進室担当課長(
防災拠点推進)】
PFI事業のアドバイザリー業務は、法務面、財務面、技術面などの専門知識やノウハウを有する専門機関に委託して、PFI手続の助言や支援を得るものであり、事業スキームの詳細検討、実施方針の作成、事業者選定委員会の運営の支援等を行ってもらう。
18: 【
野中泰志委員】
アドバイザリーの役割等も含め、PFI事業はどのように進めるのか。
19: 【
防災拠点推進室担当課長(
防災拠点推進)】
まず初めに、PFI事業で行う意思表示である実施方針の公表を行う。ここでは、事業の目的、事業のスケジュール、官民のリスク分担のほか、県がPFI事業者に求める建設する施設の水準、維持管理において求めるサービス水準等を示す要求水準書の案を併せて公表する。
その後、民間事業者からの意見を踏まえ、PFI事業として実施することを決定する特定事業の選定を行い公表していく。あわせて、予算の債務負担行為を設定し、確定した要求水準書等により入札公告、事業者選定委員会による事業者の選定等を行っていく。
20: 【
野中泰志委員】
事業者選定委員会のメンバーは、どのような人を、どのように選ぶのか。
21: 【
防災拠点推進室長】
事業者選定委員会は、民間事業者の選定における公平性、透明性、客観性を確保するものであり、PFI事業ごとに定め、設置するものである。
その委員構成は、民間事業者の選定に対し、様々な専門的見地から判断する必要があるため、愛知県PFI導入ガイドラインでは、必ず外部委員を加え、委員長は外部委員とすることが定められている。今後、選定委員については検討していきたい。
22: 【
野中泰志委員】
県内にも様々な企業があり、下請けなどを考えると、県内企業抜きに事業を進めることは難しいと考えるが、PFI事業者と県内企業とのバランスについては、どのように考えているか。
23: 【
防災拠点推進室長】
PFI事業を行う場合、施設整備、管理及び運営において県内企業の参画をより確かなものとするため、ほかの事例を踏まえながら、例えば、入札参加資格要件として地域企業の参画を要件化すること、落札者審査において地域貢献に関する提案に加点することなどを検討していきたい。また、より多くの県内企業が参画できるよう、PFIの事業範囲についても検討していきたい。
24: 【
野中泰志委員】
基幹的広域防災拠点は、平時は消防学校や都市公園として活用することになっているが、PFI事業ではその全体を対象とするのか。
25: 【
防災拠点推進室長】
基幹的広域防災拠点整備に係るPFIの事業範囲については、消防学校と公園を一括でPFIの対象とするか、または、消防学校はPFI事業の対象とし、公園は対象外とするなど、事業の範囲を今後検討していきたい。
26: 【
野中泰志委員】
PFI事業を行う場合、県産材料の活用に関して、県はどのように関わっていけるのか。
27: 【
防災拠点推進室長】
PFI事業において、例えば県産木材の使用については、どのように活用できるか検討した上で、発注者側である県が意思表示をすることで活用できると考えている。
28: 【
野中泰志委員】
大規模災害が起きた際、県が広域防災拠点を運営していくことは当然だと考えるが、民間事業者が関わっていることによって何か不都合が生じないか、県の考えを伺う。
29: 【
防災拠点推進室長】
災害時の基幹的広域防災拠点の運用については、県がしっかりと行う。平常時と災害時における運営の移行方法など、詳細については、来年度策定予定である防災拠点の円滑な運営に向けた災害時活動計画の内容を踏まえ検討していきたい。
30: 【
野中泰志委員】
基幹的広域防災拠点は地域を中心に活用することが大事である、管理や運営を民間事業者に委ねた場合、地元にとってのプライオリティーは何か伺う。
31: 【
防災拠点推進室長】
基幹的広域防災拠点については、地元等からの意見や要望を反映することができる仕組みを検討している。例えば、地元等の施設利用の優先枠の確保や、地元等が運営について協議する場の定期的な開催などを設けたいと考えており、そのようなことを条件として施設管理者を募集するなど、地域活性化につながる拠点整備としたい。そして、多くの県民に喜んで使ってもらえる施設になるよう、検討していきたい。
32: 【
野中泰志委員】
このPFI事業は人の命を預かる拠点の整備であるため、営利中心である民間事業者が管理していくに当たっては、県がしっかりと監督し、日頃の運営に対しても目を光らせる必要がある。
33: 【佐藤英俊委員】
基幹的広域防災拠点整備事業費について、来年度予算のうち、用地取得関係予算の内容について伺う。
34: 【
防災拠点推進室担当課長(
防災拠点推進)】
用地取得関係予算については、整備費約40億円のうち約34億円であるが、測量業務、取得する用地の価格を算出する土地評価業務委託、職員が用地交渉を行うに当たって補助的業務となる用地交渉業務のほか、用地取得のための公有財産購入費、用地取得に伴い発生する建物などの移転補償等のための補償補填及び賠償金などを計上している。
35: 【佐藤英俊委員】
用地交渉業務委託の内容について伺う。
36: 【
防災拠点推進室長】
土地や建物の権利者との話し合いや要望対応など、用地交渉の核となる部分については、県職員が行うが、その事務の補助、例えば用地交渉準備としての資料作成、補償内容等の説明補助、交渉記録の作成、職員が説明する契約必要事項等の記録の作成、契約後の移転状況の確認などは委託する。
37: 【佐藤英俊委員】
用地交渉業務を民間事業者に委託することは、これまでになかったことだと思うが、県としてどのような体制で行うのか。また、地元の豊山町や小牧市との連携はどのように行うのか。
38: 【
防災拠点推進室長】
来年度は、用地担当の職員4人、愛知県土地開発公社の職員2人の6人体制で用地取得を進めていく予定だが、土地や建物の権利者は約500人と想定していることから、用地交渉を行う上でマンパワーが不足している。そのため、用地取得における補助的業務を委託したいと考えている。
また、豊山町や小牧市との連携については、土地や建物の権利者にとって身近な場所である豊山町役場内に県の詰所を設け、豊山町と一体となって用地交渉を進めるなど、市町と連携して用地交渉に当たっていきたい。
39: 【佐藤英俊委員】
広範囲にわたる用地交渉で多数の地権者との難しい調整が必要となるが、個人情報の管理や代替地要望への対応など、県としてどのように対応するのか。
40: 【
防災拠点推進室長】
要望対応など、交渉の核となる部分については、県職員が先頭に立って行っていきたい。各権利者の個人情報や土地買収に当たっての要望等の情報については、県でしっかりと管理していく。
また、土地や建物の権利者と用地交渉をする中で、代替地の要望があった場合については、各権利者の意向を聴きながら、県と市町で連携を取り、提示していきたい。
41: 【佐藤英俊委員】
用地取得の対応には様々な状況があり、それに対する細やかな配慮が必要となる。用地交渉業務を委託するに当たって、県民に不安感や不信感を与えることのないように、県が主導的に進めてほしい。
42: 【水野富夫委員】
PFI事業を行うに当たっては、しっかりとした委託事業者や適切な選定委員会のメンバーを選定してほしい。
43: 《一般質問》
【岡 明彦委員】
愛知県地域防災計画においては、八つの県営都市公園が防災活動拠点に位置づけられており、その一つが地元の大高緑地公園である。南海トラフ地震発災時には、名古屋市南東部は海抜が低く軟弱地盤エリアも広いことから、大きな被害が想定されるため、防災活動拠点としての大高緑地公園の役割は重要だと考える。
大高緑地公園は愛知県地域防災計画上、災害時の活動拠点であり、応援を受けるための拠点として、地区防災拠点、地域防災拠点、広域防災拠点の三つに指定されているが、それぞれの拠点の定義を伺う。
44: 【災害対策課担当課長(災害対策・通信)】
本県では、自衛隊、警察、消防をはじめとする応援部隊等の展開や宿営の拠点として、想定される災害の規模などにより区分をしている。
地区防災活動拠点は、市町村が設置主体となり、市町村区域内の局地的な災害に対応するための拠点として、地域防災活動拠点は、県及び政令市が設置主体となり、複数の市町村に及ぶ災害に対応するための拠点として、広域防災活動拠点は、県及び政令市が設置主体となり、広域の市町村に及ぶ災害に対応するための拠点として愛知県地域防災計画で定義をしている。
45: 【岡 明彦委員】
愛知県地域防災計画には、南海トラフ地震における愛知県広域受援計画に定める防災拠点があるが、計画上の大高緑地公園の種類と、その機能はどのように定義されているか。
46: 【災害対策課担当課長(災害対策・通信)】
南海トラフ地震における愛知県広域受援計画では、大高緑地公園を2種類の防災拠点として、救助活動拠点及び広域物資輸送拠点の代替拠点に位置づけている。また、それぞれの機能としては、救助活動拠点は自衛隊、警察、消防などの応援部隊の指揮、宿営、資機材等の集積などを行う拠点として、広域物資輸送拠点の代替拠点は、国などから供給される物資を受け入れ、県内の被災市町村が設置する地域内輸送拠点や避難所に向けて物資を送り出すための拠点として、県内に定められた5か所の広域物資輸送拠点が十分に機能しない場合の代替の拠点としての機能を受け持っている。
47: 【岡 明彦委員】
南海トラフ地震発災時には、被害は広域の市町村に及ぶと考えられるため、大高緑地公園は愛知県地域防災計画上の広域防災活動拠点として位置づけられるが、現状の大高緑地公園の有する防災機能について、具体的に伺う。
48: 【災害対策課担当課長(災害対策・通信)】
大高緑地公園の有する防災機能については、多目的広場などを自衛隊などが展開、宿営するための活動拠点や、駐車場を広域物資輸送拠点の代替拠点として活用する予定である。また、交通公園や芝生広場などは、名古屋市の指定緊急避難場所として活用される予定となっている。
49: 【岡 明彦委員】
大高緑地公園は名古屋市の指定緊急避難場所になっているため、発災直後は、多くの人が大高緑地公園に避難すると考えられる。しかし、大高緑地公園は避難所に指定されていないため、大高緑地公園に避難した人は、順次、ほかの避難所等へ移動することになる。
大高緑地公園は、市内では最大規模の公園であり、現在、更新作業が行われている大高緑地震災時利用計画平面図によると、避難スペースは約10ヘクタール確保されている。休日には親子連れがテントを張っていること、また、1,600台以上の駐車場があることなどを考えると、避難者の一部が公園内でテント避難や車中避難の継続を望むことも考えられる。
大高緑地公園は一時的な避難生活の場として、地域の避難者が望めばそれを受け入れるべきと考えるが、広域防災活動拠点の活動にとっては支障となる可能性のある避難者とのすみ分けをどのように考えるのか。
50: 【災害対策課担当課長(災害対策・通信)】
大高緑地震災時利用計画において、活動拠点と避難場所については、あらかじめ別の場所が指定されている。避難場所に滞在する避難者がやむを得ずテント避難などの継続を望む場合は、引き続き避難の場所として利用してもらうことで、部隊の活動の支障にならないよう、すみ分けを行うことができる。